2009年12月20日日曜日

大学院時代の思い出

あと、二日で日本だ!!

ところで、以前にも書いたけど(参照記事)、私のfacebookの友達で今のところ最年少は大学一年生の女の子。といっても、この子「友達」というよりは「友達の娘」といった方が正確なのだが。

ところで、この子の現在通ってる大学は実は私が博士号を修得したUpenn(ペンシルバニア大学)。そして、よくfacebookに大学の写真とかアップしてくる。(大学一年生だけあって、こういうことはマメにやっているようだ。)

で、今日それをちょっと見てたら、大学院時代を思い出しノスタルジックな気持ちになってきた。そこで、今日のブログは大学院時代の思い出話、というか、大学院時代の大変だったことの一つ。

ちょっと前のブログでちょっとだけ書いたけど(参照記事)、アメリカの大学院の特に初めの2年間ぐらいはただしたすらHomeworkに追われる日々が続く。授業を受け、毎週、毎週、理不尽なほどの量の宿題が出され、それをこなしていくだけの日々。

数学の場合、教科書の章末問題のようなものを解いてくる、といったのが基本的なパターンなのだが。

そんな大学院時代に履修した宿題が最も大変だった授業の思い出話。

それは、私がUpennの2年目に秋と春の二学期間にわたって履修したAlgebraic Geometry(代数幾何)の授業。担当教授はDavid Harbaterというその筋ではかなり著名な人なのだが、この教授の宿題の量はハンパなかった。

使用した教科書は、Algebraic Geometryを学ぶ人ならだれでもマスターしなければならないRobin Hartshorneの書いた有名な教科書。タイトルもそのままAlgebraic Geometry.

基本的に秋と冬の二学期間でこの本のエッセンスをマスターするのが狙い。教科書に載ってる問題だけでなく、その上にこの教授のオリジナル問題も含めて、まぁ、大量の問題を解かされたのを覚えている。

ちなみに、この授業のホームページはいまだに存在するので興味ある人はどうぞ。

http://www.math.upenn.edu/~harbater/624.html

http://www.math.upenn.edu/~harbater/625.html

最初のリンクが秋学期ので次のが春学期のもの。どういう宿題が出されたかも分かります。

数学やってる人だったら、これがどれだけ大変なことか分かってもらえるんだよなぁ~。

この授業にたまりかねて大学院を去っていった友人が一人いたほどだった。しかし、私はその後この教科書を元にした口頭試験を受けなければならなかったため必死でついていった。

おかげで、たった一年弱の間にこの教科書がボロボロになるまで読み込むことになったのだ。それがこれ。



でも、私は本に書き込みをするのが嫌いなため、書き込みは基本的に無い。こんな感じで。



その代り、分からなかった箇所や重要と思った箇所には色のついたヒラヒラのマーク(って言うんだろうか?)をつけるのが日課だった。

そして、私はページをめくる時、各ページの下の部分に指をあててめくる癖があるようで、本の下を見れば、どこの変を重点的に読み込んだかが分かる。こんな感じで。




そう、初めの5分の4ぐらいは完璧に読み込んだ形跡が見て取れる。多少専門的な話をするとこの本は5章+Appendixで構成されているのだが、初めの4章までをマスターすれば一応この本は卒業と考えてても良いことになっている、って通常思われている、と私は思ってる(汗)。実際私の口頭試験もこの本の4章までが試験範囲だった。

RPGに例えれば、4章までマスターするのが「ラスボスを倒してエンディングを見る」ようなもので、残りは「エンディング後に出現する隠しダンジョンやレアアイテムの回収」みたいなもので、まぁ、やりたい人だけがやればいい、といった感じと言って良いと思う。

私は4章までの演習問題をかかなりやりこんだ。ってかUpennの二年目はただひたすらこの本をマスターするのに費やした気がする。

さらに、この本以外に大学院時代かなりのところまで読み込んだのが二冊ほどで、これら三冊で記念撮影した。



数学の本を一冊マスターするには何回も、何回も繰り返し読み込まなければならなくて、これらの本は写真ではいまいち分からないかもしれないが、かなりボロボロになるまで繰り返し読んだもの。


今振り返ると、もう二度とこのころには戻りたいとは思わないが、それと同時にこのころがあるからこそ今の自分もあるんだなぁ~、としみじみ思ったりもする今日この頃である。



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2 件のコメント:

Willy さんのコメント...

Hartshorne (GTM52)は代数系では一番有名な関門ではないでしょうか。私はpure mathをやっていた頃、落ちこぼれだったのでちゃんと読みませんでしたが(汗。一応言い訳しておくと代数幾何は専攻ではありませんでした)。日本でも代数幾何専攻の人はみんな読んでいると思うのですが、米国みたいにガリガリ問題を解かせるわけではないので、理解度は人によってまちまちのようです。その辺りが米国の大学の偉いところなのだと思います。

謎の数学者 さんのコメント...

コメントありがとうございます。
日本に帰って来ました。
私は数学に関しては日本の大学のことを基本的に知らないのですが、やはり日本の大学院では数学でもアメリカのように宿題が大量に出されることはあまりないのでしょうか?